南フランスのアルルから車で40分ほど南へ行くと、サント・マリー・ド・ラ・メール(Les Saintes-Maries-de-la-Mer
ここは、昔、3人のマリア(聖母姉妹のマリア、ヨハネとヤコブの母マリア、マグダラのマリア)がキリストの死後に流れて来た場所と言われています。
マグダラのマリア以外の2人は、この町に住み、ここで生涯を終えたそうです。
サント・マリーの教会には、ここに残った2人のマリアの十字架、そして彼女達の召使いであった黒人サラの十字架と人形があります。
黒人のサラは、ジプシー出身と言われ、ジプシーの守り神として今も信仰されています。
その後、この町は巡礼地として栄え、特にジプシーの巡礼地として有名になりました。
実際に、この町には5月と10月にジプシー達の巡礼があり、各地から沢山のジプシーが集まって来ます。そして、ジプシー達は思い思いに街角で歌い踊るのです。
毎年5月に開催されるサントマリーの祭り。町の中心にある教会に黒いサラ・マリアの像が設置されている。
祭りのクライマックス。黒いサラ像を海へと返す儀式。
お祭りの期間中、サントマリーの街中には各地から集まったジプシーのミュージシャンでにぎわいを見せる。
このサント・マリー・ド・ラ・メールから東へ行くと、バカレス湖(Etang de Vaccares)を中心とした湿原地帯に到達します。
ここは、ヨーロッパにおける自然の聖域と言われ、野生のフラミンゴや野鳥、水牛などが生息し、牧童達が白い馬で駆け廻る光景はフランスというイメージからは想像できない雰囲気です。
SMDLM周辺は白い馬の産地としても有名。
ローヌ川の二つの支流と地中海に挟まれたバカレス湖を取り囲む三角州(デルタ)の一帯を、カマルグ地方(Camargue)といいます。
ジプシー・キングスの音楽で馴染みの深いカマルグ系ジプシー・ルンバは、フラメンコをそのルーツとして、この地方で歌い継がれ発展した音楽なのです。